日本でごく自然に使われているサッカー用語の中には、実際に英語圏では使われない「和製英語」が多く存在しています。
残念ながら、日本人の英語力は世界的に見ても最低レベルなので、和製英語であることに気が付いていない人が大半です。
それにも関わらず、最近では海外への挑戦をする日本人サッカー選手も増えてきていますよね。
私はこういった人たちが、サッカー以外の部分で苦労しないように、指導・教育のスタンダードを変えていく必要があると感じています。
ぜひ、以下に示す33個の単語・フレーズをしっかりと理解して、日本サッカーのレベルを語学面から向上させていきましょう!
No.1
ハンド!
Handball!
✍️ボールが手に当たった際に日本人は「ハンド!」と言いますが、英語圏では Handball! と言います。
No.2
クリア!
Away!
✍️英語でも、危険なエリアからボールを蹴り出したりすることを clearance と言いますが、単純に「クリア!」と言いたいときは Away! という言い方をします。
No.3
フリー!
In the clear!
✍️周りに相手がいるときに Man on! と言うのはサッカー界の常識ですが、周りに相手がいないときの声かけが日本と英語圏では異なります。「フリー!」ではなく「イン ザ クリア!」ですので、覚えておきましょう。ちなみに You have time! や Time! ということも多いです。
No.4
マイボール!
Ours!
✍️ボールがラインの外に出たとき、審判へのアピールとして「マイボール!」や「マイボ!」と言うのはよく見る光景です。しかし、英語圏では Ours! と言って自分たちのチームのボールであることをアピールします。
No.5
スルー!
Leave it!
✍️味方に対して「任せろ!」という意味で「スルー!」と言うことがあると思いますが、英語圏では through! とは言わず、Leave it! と言います。この leave には「〜を任せる」という意味があります。また、Dummy! (ダミー!) と言うこともあります。
No.6
ドンマイ!
Unlucky!
✍️日本人の言う「ドンマイ!」は英語の Don’t mind! からきていると思いますが、これは完全な誤用です。こういった状況では Unlucky! という言葉を使用するのが一般的です。
No.7
ナイスプレー!
Lovely!
✍️良いプレーを賞賛するために「ナイスプレー!」と声かけをすることはよくあると思いますが、そのようなときには Lovely! や Great!、試合後であれば Well played! などと言うのが一般的です。
No.8
ロスタイム
additional time
✍️有名な話ですが、「ロスタイム」は完全な和製英語です。英語圏では additional time, added time, injury time と表現されることが多いです。
No.9
セットプレー
set-piece
✍️似ているけど微妙に違うのが「セットプレー」。フリーキックやコーナーなどは set-piece と言われます。
No.10
PK
pen
✍️日本語でも英語でもペナルティーキックは penalty kick なのですが、略し方が違います。日本人は PK と言いますが、英語圏では pen という呼び方をするのが一般的です。
No.11
キックフェイント
fake shot
✍️日本語ではシュートをするふりをして相手を欺く動作を「キックフェイント」と呼びますが、英語では「フェイクショット」と表現します。ちなみに、シュートシーン以外におけるキックフェイントは dummy (ダミー) と呼ばれます。
No.12
スルーパス
through ball
✍️これも微妙に違うシリーズですね。相手選手の間を通すようなパスは through pass ではなく、through ball と言いましょう。
No.13
トラップ
control
✍️英単語の trap には「罠」や「〜を引っ掛ける」という意味があります。確かに trap the ball と言うことはできますが、control の方が一般的に使用されていますね。
No.14
ヒールキック
backheel
✍️日本ではかかとでボールを蹴ることを「ヒールキック」と言いますが、英語圏では backheel という言い方をします。もちろん、heel は「かかと」という意味があります。
No.15
アウトサイドパス
outside of the foot pass
✍️普通に「アウトサイドパス」で通じそうな気もしますが、英語ではしっかりと outside of the foot pass という言い方をします。ポルトガル語を使用して、trivela pass (トリヴェラパス)と呼ばれることもありますね。
No.16
ヘディング
header
✍️これは説明が難しいのですが、heading というのは「ヘディングをすること」を意味する言葉なので、「ヘディング自体」を指すときには使用しません。なので、「素晴らしいヘディング」を英語にするときは a great header と言うのが正しいです。
No.17
シュート
shot
✍️英語の shoot は「(シュートなどを)打つ」という意味の動詞です。なので、例えば日本語の「力強いシュート」は英語で a powerful shot となります。ただし、「シュートを打て!」という意味で Shoot! と言うことはあります。ただし、これも Hit it! とか Give a shot! の方が一般的です。ちなみに、「ミドルシュート」は middle-range shot というのが一般的です。
No.18
(ボール)キープ
shielding
✍️日本語では、相手選手からボールを守る行為を「キープする」などと言いますが、英語では shielding という言葉を使用します。また、終了間際に時間稼ぎを目的としてキープすることを time wasting と言います。
No.19
ボールロスト
dispossession
✍️ lose the ball で「ボールを失う」という言い方はしますが、名詞的に「ボールロスト」とは言いません。これの代わりとなる言葉は dispossession です。
No.20
パスミス
poor pass
✍️日本語の「パスミス」にがっちりと対応する英語はないと思います。英語圏で「パスミス」を表現する際は poor pass 「質の低いパス」 や inaccurate pass 「不正確なパス」というように、具体的に言うことが多いです。また、too heavy や too long などと言って、「強すぎ」や「長すぎ」を表現することもよくありますね。
No.21
サイドバック
full back
✍️衝撃かもしれませんが、「サイドバック」も和製英語です。このポジションは英語で full back または left back や right back と言われます。
No.22
ボランチ
holding midfielder
✍️ちなみに「ボランチ」は和製英語ではなく、「舵取り」という意味のポルトガル語なのですが、英語と勘違いして使用する人も多いのでリストに入れることにしました。
No.23
4バック
back four
✍️4人のディフェンダーを日本語では「4バック」と言いますが、英語では back four と言います。順番だけが違うとは…なんかもう本当にややこしいですね!
No.24
2トップ
two up top
✍️そもそもフォワードのことを「トップ」と表現することがないんです。英語では centre forward や striker、winger など、細かい役割まで表現します。
No.25
ユニフォーム
kit
✍️正確には「ユニフォーム」は和製英語というか、アメリカっぽい英語ですね。イギリスではチームの服装一式をまとめて kit と呼びます。
No.26
パンツ
shorts
✍️ユニフォームの下を日本語ではパンツと言いますが、英語では shorts となります。ちなみに、「下着」という意味でのパンツは underwear なので、非常にややこしいです。
No.27
レガース
shinpad(s)
✍️「すねあて」を意味する「レガース」は leg guards が日本語っぽくなまったものなので、しっかりと発音すれば通じます。ただ、一般的には shinpads という語を使うことが多いと思います。
No.28
スパイク
boot(s)
✍️「ブーツ」には雨の日に履く靴のイメージがあると思いますが、英語圏ではサッカー用のシューズである「スパイク」を指します。英語の spike に「突起」などの意味があることから、サッカー用の靴を日本では「スパイク」と呼ぶようになりましたが、完全に日本特有のサッカー文化です。
No.29
ポイント
stud(s)
✍️サッカー用のシューズの突起部分を日本語では「ポイント」と言いますが、英語では stud(s) と呼びます。この stud には何かを止めるのに使用する「びょう」や「釘」というような意味があります。
No.30
リフティング
kick-up
✍️「リフティング」は lifting という「持ち上げること」を意味する言葉からきていると思いますが、サッカーのリフティングは kick-up と言われます。ちなみに、リフティングの中に華麗な技が含まれる場合は kick-up というより ball skill の方が適切な表現となります。
No.31
ハイキック
high foot
✍️足を高く上げる反則を日本語では「ハイキック」と呼びますが、英語では high foot や high boot と言います。確かに、「足を高く上げる反則」なので、「ハイキック」より「ハイフット」の方が正確に描写されている気がしますね。
No.32
スタメン
starting XI
✍️日本語の「スタメン」は starting member からきていると思いますが、英語では starting XI という言い方が主流です。ちなみに、4-4-2 や 4-3-3 などのシステムも表示される場合は line-up という言い方をします。
No.33
インナーラップ
underlap
✍️サイドでボールを保持した選手の内側を追い越すことを英語では underlap(アンダーラップ)と言います。日本ではなぜか「インナーラップ」という言葉が使用されていますが、完全な和製英語なので英語で話をするときには注意しましょう。ちなみに、外側を追い越すことは英語でも日本語でも overlap(オーバーラップ)で正しいです。
おわりに
いかがでしたか?今回は日本のサッカー界で使用されている和製英語を33個紹介しました。日本で当たり前に使う表現が、実は和製英語だったと知って驚いたのではないでしょうか?
この記事を通して、皆さんのサッカーに関する英語ボキャブラリーのレベルが上がったのであれば嬉しいです。
今回紹介した表現は、DAZNの英語実況でも耳にすることがあると思います。最近は海外サッカーの実況を担当する日本人の方も、和製英語を使わないようになってきています。実況の方が試合を見ると、さらに楽しめるかもしれません。
もっとコアな表現が知りたいという方は『イギリス英語で頻出のカッコいいサッカー用語10選』という記事もご参照ください。最後までお読みいただき、ありがとうございました。