
(J.LEAGUE.jp より引用)
海外ではレアル・マドリードやバイエルン・ミュンヘンのように、本拠地とする「地名」を主としたクラブ名が多く存在しています。
その一方で、Jリーグのクラブ名はヴィッセル神戸や鹿島アントラーズのように、地名+カタカナ語で構成されている場合が多いと思いませんか?
実はこれらのカタカナ語はスペイン語やイタリア語であったり、それらをもとにした造語あったりと、命名者の様々な想いが込められた意味のある言葉です。
そこで、今回の記事ではJ1リーグに所属しているチームのクラブ名の由来を詳細に解説して、応援しているチームへの愛をさらに深めてもらおうと思います!
FC東京
◎本拠地
味の素スタジアム
◎由来
都民各層から幅広くサポートされる「都民のためのJクラブ」を目指す観点から、ホームタウン名「東京」という文字を入れた、シンプルで誰にもわかり易く馴染みのあるものとした。
◎コメント
Jリーグの中では珍しいパターンですね。Simple is best. の典型だと思いますし、首都である東京ならではといった感じでしょうか?意外にもチーム名が「FC東京」になったのは1999年のことで、それまではチームの前身である「東京ガスフットボールクラブ」という名称を使用していました。
アビスパ福岡
◎本拠地
ベスト電器スタジアム
◎由来
クラブ名のAVISPAは、ラテン語AVISから派生したスペイン語AVISPA(アビスパ)です。AVIS(アビス)は「鳥」や「飛び立つもの」という意味から、スポーツ文化が地域に根ざすとともに「世界に向けて躍進していくように」との願いが込められています。AVISPAは蜂を意味しますが、蜂の行動特性である「集団行動性」「俊敏性」から、チームは「軽快」「統制力」「多様なグループ攻撃」を特徴としています。引用: https://www.avispa.co.jp/club-info/club_profile
◎コメント
スポーツ文化の発展への願いと日本人の気質を上手く表現したチーム名ということのようです。ちなみに英語で「蜂」は bee(ビー))や wasp(ワスプ)なので、響き的にスペイン語の「アビスパ」の方が良いですね(笑)
ヴィッセル神戸
◎本拠地
ノエビアスタジアム神戸
◎由来
「VISSEL」は英語の勝利「VICTORY」と船「VESSEL」を合わせた造語です。「勝利の船出」を意味し、国際港湾都市神戸をイメージするとともに、市民の夢を乗せ、勝利に挑戦し続けるクラブであることの誓いを込めています。引用: https://www.vissel-kobe.co.jp/club/
◎コメント
ヴィッセルは victory + vessel の造語だったんですね。「造語」のことを英語では coined word と言います。外国の方にチーム名の由来を説明するときには It’s a coined word. から始められますね。ちなみに、blood vessel と言ったら「血管」なんて意味にもなります。
ガンバ大阪
◎本拠地
パナソニックスタジアム吹田
◎由来
GAMBAとはイタリア語で「脚」を意味する言葉。シンプルで強いチームを目指す、サッカーの原点である「脚」を強調した。「ガンバ」という響きは、日本語の「頑張る」にも通じ、「チーム一丸となって勝利を目指して頑張るチーム」「どんな状況でもガンバって勝利を勝ちとるチーム」「大阪をホームタウンとし、大阪を中心とした関西ファンの声援を受けてガンバるチーム」「日本一、世界一のクラブ組織に向けてガンバるサッカークラブ」という気持ちが込められている。引用: https://www2.gamba-osaka.net/club/
◎コメント
なんとなく皆が日本語の「頑張る」からきたチーム名と思い込んでいるかもしれませんが、イタリア語に由来があるようです。イタリア人からしたら Legs Osaka のように聞こえるのでしょうか(笑)ちなみにこれは豆知識ですが、イタリアで「サッカー」のことを Calcio(カルチョ)と呼びます。
サガン鳥栖
◎本拠地
駅前不動産スタジアム
◎由来
長い年月をかけて砂粒が固まって砂岩「サガン」となるように一人ひとり、小さな力を集結し立ち向かうことを意味する。「佐賀の」という意味にも通じる引用: https://www.jleague.jp/club/tosu/profile
◎コメント
「サガン」が「佐賀の」という意味にも通じるという最後の部分は、「◯◯ん家」が「◯◯の家」という意味になるみたいなことですかね?日本語の変化を利用して、チーム創設の想いだけでなく、所在している県名まで伝えることができているナイスな命名だと思います。
サンフレッチェ広島
◎本拠地
エディオンスタジアム広島
◎由来
サンフレッチェは、日本語の「三」とイタリア語の「フレッチェ(矢)」をあわせて作った造語で「三本の矢」を意味しています。このチーム名は広島に縁の深い戦国武将毛利元就の「三本の矢」の故事から名づけられたもので、広島の県民市民・行政・財界の三位一体の力によって支えられていることを示し、またチームスポーツの基幹をなす「技術・戦術・体力」の三要素、そして個々の選手に必要とされる「心・技・体」の三原則にもつながっています。引用: https://www.sanfrecce.co.jp/club/
◎コメント
ヴィッセル神戸と同じく造語のパターンで、「サンフレッチェ」は日本語とイタリア語のハイブリッドのようです。調べたところによると、イタリア語の freccia(フレッチャ)が「矢」を表す言葉で、その複数形が frecce(フレッチェ)なんですね。クラブのエンブレムにも、しっかりと矢が3本入っています。
セレッソ大阪
◎本拠地
ヤンマースタジアム長居
◎由来
セレッソ(CEREZO)=スペイン語で「桜」。桜は大阪の“市花”であり、また、日本を代表する花でもあります。地域に根ざし、ここ大阪から日本を代表するクラブへ、世界で満開の夢を咲かせるクラブへ。サポーターとともにどこまでも成長していく。その思いをクラブ名に込めました。引用: https://www.cerezo.jp/club/
◎コメント
「セレッソ」はスペイン語の「桜」なんですね。なんと、スペイン西部には桜が咲く地域があるようです。ちなみに、英語で「桜」が cherry blossom(チェリーブロッサム)というのは皆さんご存知ですよね?
ベガルタ仙台
◎本拠地
ユアテックスタジアム仙台
◎由来
仙台の夏の風物詩である七夕まつりは、天の川を挟んで光輝く織姫(ベガ)と彦星(アルタイル)が、年に一度、七夕の日にだけ出会うことができるという伝説から生まれました。「ベガルタ」というクラブ名には2つの星の合体名で「県民・市民と融合し、ともに夢を実現する」という願いを込めました。まさにJリーグの理念である「地域に根付いたスポーツ文化」を象徴する名称です。また、地域のシンボルとして親しまれ、誇りとなり、輝きを放つことで広く地域へ貢献していく意味も含みます。引用: https://www.vegalta.co.jp/club/profile.html
◎コメント
ベガルタは Vaga + Altair = Vegalta という英語由来の造語とのことです。ホームのユニフォームがゴールドなのも、星の名前からクラブの名を作ったということであれば納得です。
浦和レッドダイヤモンズ
◎本拠地
埼玉スタジアム2002
◎由来
ダイヤモンドの最上の輝き、何物にも傷つけられない強さ、固い結束力が、この愛称にこめられています。ダイヤモンドは、光の当たり方によって様々に輝きます。イレブンにスタンドからサポーターの光が当たってこそ、「レッドダイヤモンズ」が真っ赤な炎のように光り輝くものと確信しています。「レッド=赤」は、クラブカラーです。浦和を舞台とした漫画「赤き血のイレブン」もカラーは赤。前身の三菱サッカー部のユニホームも赤でした。引用: https://www.urawa-reds.co.jp/club//
◎コメント
Urawa Reds は略称で、正式名が Urawa Red Diamonds であるというのはJリーグファンならご存知かと思います。地名 + 英語なので海外の人にも分かりやすいクラブ名だと思いますが、変わった「クラブ名」として海外の記事で紹介されているのを見たことがあります。
横浜F・マリノス
◎本拠地
日産スタジアム
◎由来
マリノス(MARINOS)とは、スペイン語で「船乗り」のこと。7つの海を渡り世界をめざす姿と、ホームタウンである国際的港・横浜のイメージをオーバーラップさせている。引用: https://www.f-marinos.com/club/profile/
◎コメント
マリノスはスペイン語の「船乗り」 marino(マリノ)の複数形であるとのこと。ちなみに、「F」は1999年に合併した「横浜フリューゲルス」の「F」だそうです。さらに深ぼると、「フリューゲルス」はドイツ語で「翼」を意味する flügel からきています。これは横浜フリューゲルスが全日本空輸(ANA)が援助を受けて活動していたことに由来があります。
横浜FC
◎本拠地
ニッパツ三ツ沢球技場
◎由来
地域に密着したクラブ作りをめざすため、覚えやすいネーミングに。また、心地よい響きとなるにちがいないと考え命名。引用: https://www.jleague.jp/club/yokohamafc/day/#profile
◎コメント
FC東京と同じく、シンプルなチーム名となっています。やはりこのような命名は「東京」や「横浜」のような知名度の高い都市のみがなせる技でしょうか。
鹿島アントラーズ
◎本拠地
カシマスタジアム
◎由来
アントラーズの”アントラー”は鹿の枝角のこと。鹿島地域を代表する鹿島神宮の鹿にちなんだもので、枝角は茨城県の茨をイメージしています。鹿のように広く愛され、そして、戦いの時は、その鋭い枝角で勇猛果敢に立ち向かい勝利を目指す、という意味を込めました。引用: https://www.antlers.co.jp/clubs/team_mascot.html
◎コメント
「鹿」が英語で deer なのは知っていましたが、「鹿の枝角」は antler と言うんですね。クラブのエンブレムも思いっきり枝角の生えた鹿なので分かりやすいです。
湘南ベルマーレ
◎本拠地
レモンガススタジアム平塚
◎由来
湘南の「美しい海」をイメージし、ラテン語のBellum(ベラム=美しい)とMare(マーレ=海)を組み合わせてBellmare引用: https://www.bellmare.co.jp/club/profile
◎コメント
これは正しいかどうか定かではないのですが、自分が検索したところによるとラテン語の bellum には war(戦争)という意味があって、「美しい」は bellus なのではないかという疑惑が浮上しています。ちなみに mare は「海」という意味で当っているようです。正確なことがわかったら追記します(笑)
清水エスパルス
◎本拠地
IAIスタジアム日本平
◎由来
S-PULSEのSは「サッカー、清水、静岡」の頭文字をとったもの。PULSEは英語で「心臓の鼓動」の意味。サッカーを愛する県民・市民の胸の高鳴りとチームのスピリットを表している引用: https://www.jleague.jp/club/shimizu/day/#profile
◎コメント
エスパルという言葉が存在しているのかな?と思っていたので、S と Pulse で区切りがあるんですね。「胸の高鳴り」や「心臓の鼓動」を英語の pulse で表現したチーム名ということですが。浦和と同じく海外の記事で「変わったチーム名」として紹介されていました。
川崎フロンターレ
◎本拠地
等々力陸上競技場
◎由来
フロンターレとは、イタリア語で「正面」「前飾り」の意味。これは常に最前線で挑戦し続けるフロンティアスピリッツ、正面から正々堂々と戦う姿勢を表現したものです。引用: frontale.co.jp/about/club_profile_jp.html
◎コメント
英語の front をイタリア語にすると frontale になるわけですね。確かに「川崎フロント」よりも「川崎フロンターレ」の方がチーム名っぽい響きになっていると思います。まぁこれは日本人の感覚なので、海外の人にはどのように聞こえるのか、興味深いところです。
大分トリニータ
◎本拠地
大分スポーツ公園総合競技場
◎由来
チ-ム発足時に愛称は一般公募で、「トリニティ」に決定。英語で三位一体を意味しており、県民、企業、行政が力を合わせてチ-ムを育てていく、という思いがこめられている。
クラブが法人化し、Jリ-グ加盟に合わせて商標登録の関係から「トリニ-タ」に変更。トリニ-タは造語で「トリニティ・おおいた」を合わせたもの。引用: https://www.oita-trinita.co.jp/club/
◎コメント
県民、企業、行政の「三位一体」を表す trinity(トリニティ)って良いなぁと思ったのですが、英語圏の人がチーム名を聞いたら「大分三位一体」って聞こえるということなので、造語の「トリニータ」の方が良いですね。すでに「トリニティ」という会社が存在してくれていたことに感謝。
徳島ヴォルティス
◎本拠地
ポカリスエットスタジアム
◎由来
イタリア語で「渦」を意味する「VORTICE」から生まれた造語。豪快な鳴門の渦潮にあやかり、パワー、スピード、結束力を備え、観客を興奮の渦に巻き込む思いがこめられている引用: https://www.jleague.jp/club/tokushima/day/#profile
◎コメント
英語で「渦」は vortex なので、「徳島ヴォルテックス」になる可能性もあったわけですね。ちょっと響きがしっくりこないと、日本人はイタリア語とかスペイン語に救いを求めがちということが分かってきました(笑)
柏レイソル
◎本拠地
三協フロンテア柏スタジアム
◎由来
「REYSOL」はスペイン語の「REY」=「王」、「SOL」=「太陽」を現す言葉からでき、「太陽王」の意味を持ちます。王者としての激しさや厳しさと、太陽の優しさや親しみやすさを兼ね備えています。引用: https://www.reysol.co.jp/club/clubinfo/
◎コメント
英語にしたら Kashiwa King Sun ってことですよね。スペイン人にとってどう聞こえるのか尋ねてみたいです。Rey が「王」という意味だと聞いて、確かにスペイン国内のカップ戦って Copa del Rey(コパデルレイ)って言うなぁと思いました。ちなみに Copa は英語の Cup で日本語の「杯」、del は英語の of で日本語の「の」です。
北海道コンサドーレ札幌
◎本拠地
札幌ドーム, 札幌厚別公園競技場
◎由来
「どさんこ」の逆さ読みに、ラテン語の響きをもつ「オーレ」を付けたもの引用: https://www.jleague.jp/club/sapporo#profile
◎コメント
スペイン語っぽいなぁと思っていたら、まさかの「どさんこ」逆さ読みが主となる部分だったんですね。ちなみに、ラテン語の「オーレ」というのは闘牛やフラメンコ、スポーツの会場で聴いたりする「ブラボー!」みたいな褒め言葉のことです。
名古屋グランパスエイト
◎本拠地
豊田スタジアム
◎由来
ホームタウンの名古屋市にちなんだ名称
GRAMPUS : 鯱/しゃちほこ、名古屋のシンボル
EIGHT : 名古屋市の市章が「八」であり、末広がり引用: https://nagoya-grampus.jp/club/overview/
◎コメント
英語の grampus が「しゃちほこ」ということは、英語圏の人に「名古屋グランパス」は「名古屋しゃちほこ」って聞こえるってことですよね(笑)あと、サッカーなのに「エイト」なのは市章に由来があったんですね。
おわりに
どのチームも命名者の想いが光っていましたね。ただ、記事を書きながら感じたことは、「チーム名に外国語や造語を入れるメリットとデメリットってあるなぁ…。」ということです。
メリットは日本人にとって響きが良くなるところですが、デメリットは使用言語のネイティブが聞いたらおそらくちょっとダサいというか、変だなって感じられてしまうところだと思います。
やっぱり「地名 + FC」みたいな形がシンプルで分かりやすいなって思います。どうしてもカタカナを入れたければ、愛称にしちゃうというのも1つの作戦ですよね。
例えば、チーム名を「浦和FC」としておいて、愛称を「レッドダイアモンズ」にするみたいな感じです。プレミアリーグのチームはどこも例外なく愛称を持っているなんていう事実もあります。
プレミアリーグ各クラブの愛称については、『プレミアリーグ20チームの愛称がオシャレなので紹介』という記事でまとめています。ぜひチェックしてみてください。
今回の記事ではJ1に所属するチームのみを調べてきましたが、J2とJ3バージョンも近いうちに書いていきたいと思います。それでは、最後までお読みいただき、ありがとうございました。