相手が「競ってない」「跳んでないから」ファール?
(rom7oooより引用)
最近の日本のサッカー界においては、「相手が跳んでないからファール」という誤認?が広まっているように感じます。(私の中では誤認なのですが、もしかして正しいですか?)
先日、審判をしているときに選手から「(相手が)跳んでないよー!」とファールを要求する文句を言われたので、「もしかしてルールが変更になったのかな?」と思い、確認のためにもう1度調べながらこの記事を書くことにしました。
ただ、私もそれほど審判の経験がある訳ではないので、この記事に書いていく情報は誤りを含むかもしれません。あくまで個人の考察としてご覧ください。
国際サッカー評議会の見解は?
(albawaabaより引用)
この記事を書くにあたっては、最も信頼度の高い国際サッカー評議会IFABのホームページを参照しています。自分で読んでみたい方は こちら のリンクからどうぞ。
はい、ある程度の前提は説明できたところで、「跳んでいないからファール」は真か偽かを判定していきたいと思います。まず最初に、「直接フリーキックになる反則」からヘディングの競り合いに影響するものを抜粋しました。
もし選手が審判の感覚で「配慮なく」、「無謀に」または「過剰な力」で対戦相手に対して次のいずれか反則をしたとき、直接フリーキックが与えられる。
① jumps at
→ 飛びかかる
② holds an opponent
→ 相手を押さえつける
③ trips or attempts to trip
→ 引っかけたり、引っかけようとしたりする
やはり、「跳んでいなければファール」という直接的な表現はありません。しかし、注目すべきは③の項目だと思います。訳として「引っかけたり、引っかけようとしたりする」と書いておきました。
これです。これが日本のサッカー界に「相手が跳んでないからファール」という誤認を生んだ原因だと私は思います。
2人の選手が跳んで競り合うべき状況で、1人の選手が跳ばなかったらどうなるでしょうか?身体の接触があれば大抵の場合、跳ばなかった選手を支点にして、跳んだ選手が空中でバランスを崩します。
これを「引っかけた」と審判が捉えた場合はルールに書いてある通りファールとなるという仕組みな訳です。逆に言えば、「引っかけていない。引っかけようともしていない。」という場合はノーファールということですね。
正直に言うと、私の思っていた通りです。確かに「跳んでないからファール」となる場面は多いのですが、1つずつの現象をよく観察しないと答えは出せないということです。
むしろ①にあるように、一方的に跳びかかった場合は「跳んだ選手のファール」になることすらあるという訳です。ますます、単純に考えてはいけないことがわかります。
プロの審判による判定をチェック
(Brentford FCより引用)
ここからは DAZN で発見した「議論すべき状況」をもとに検証をしていきたいと思います。無断で動画を使用するわけにはいかないので、ここでは文章での説明となります。
(実際に DAZN に加入すると実際の試合やジャッジリプレイなどのコンテンツで、判定に対する分析が楽しめます。)
2022年5月18日プレミアリーグ第37節サウサンプトン対リヴァプールの試合の前半30分17秒における守備側コナテと攻撃側アダムスの空中戦で、アダムスは明らかにジャンプをしませんでした。
しかし、このシーンの判定は「ノーファール」。興味深いのは、「若干の身体の接触があったのにも関わらずノーファールだった」という点です。
でも、ルールに基づいて考えてみれば当たり前のことですよね。たとえ接触があっても、大事なのは跳んでいない方が「引っかけているかどうか。引っかけようとしているかどうか。」でしたね。
自分から突っ込んでいったコナテは空中でバランスを崩し、ちょっと危ない形で落下しますが、プレーは続行となりました。これの度が過ぎるとむしろコナテ側がジャンピングアットの反則を取られるのだと思います。
この試合を裁いていたアンドレ・マリナー主審は本当によく見えているなぁと感心しました。というわけで、プロの審判の後押しも得て、私の中で「相手が跳んでないからファール」は「偽」という結論に至りました。
最初にも言いましたが、あくまで個人の見解ですのでご了承ください。それでは、最後までお読み頂き、ありがとうございました。
P.S.
主に本サイトではサッカーと英語に関する話題を扱っています。この記事の内容に関連して、審判が使う英語表現について詳しく知りたい方は サッカーの審判が使う英語ボキャブラリー&フレーズ50+ という記事をご参照ください。